南の猫の新西蘭雑記

日本も結構好きなのですが、根っこがこっちに深いです。

頭脳明晰の代価

病欠してしまいました。密かに、皆勤賞で市民権を狙っていたのですが、残念賞。
フェノミナン [DVD] アルジャーノンに花束を

気を取り直して。文字通り、寝子をしていた一日。睡眠の間にとりとめもなく、考えるのは、やっぱりSF。ジョン・トラボルタ主演の「フェノミナン」。彼の主演作は多々ありますが、一番のお気に入りです。ロボットもロケットもCGもありませんが、れっきとしたSF(と、決めつける)。何と言う事もない田舎町の、何と言う事もない主人公が、誕生日を迎えたある夜、不可解な光を見て以来、いきなり頭が切れ出し、おまけに念動力(テレキネシス)と共感力(テレパシー)まで備わってしまいます。さて、光の正体は、村人たちの反応は、噂が噂を呼んで世間の反応は、と、ドラマが展開されていきます。しつこく追いかけてくるCIAのエージェントに恋人が「How would YOU like to die?」と聞く所は、やっぱり涙物です。日本のSF巨匠野田昌宏氏が「SFはセンス・オブ・ワンダー」とおっしゃってますが、そういった意味で隠れた秀作だと思います。

で、これを見た後、読み直したくなるのが「アルジャーノンに花束を」。著者ダニエル・キイスの名前は、精神分裂症をテーマにした本の方が馴染みがあるかも。でも、このSF中編(短編も出てますが、書き直したこちらの方が読み応えがあります)の方がずっと前の物です。SFオールタイムベストでは必ず名前が上がります。精神薄弱の主人公が試験的な薬をもらって、天才に変化するお話。これも又、派手なSF小物は何一つ出てこず、日記に主人公が日々の進行状況を書き綴るだけです。毎日加速的に頭のよくなる主人公、最終的には薬を発明した科学者をも超えてしまいます。この目覚ましい変化にたいする周囲の人間の反応は、やはり好意から羨望へ。前とは違う意味で、他人との差を悩む主人公。でも、やはり代価はつきもの。最後まで心優しい主人公に「やっぱり泣いた?」「うん。」と、言う事になってしまいます。

どちらにしても、儚い人生精一杯、と、言う所で、風邪などにめげず、明日もSF頑張ります。