南の猫の新西蘭雑記

日本も結構好きなのですが、根っこがこっちに深いです。

Mr. インクレディブル 秀逸

Mr.インクレディブル [DVD]

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こんなに吹っ飛んだのは、もう久しぶりです。すごいですよ、この映画。


まず、CG。彼らの最初の作品、「トイ・ストーリー [DVD]」はもちろん、「シュレック 2 スペシャル・エディション [DVD]」も、超えていると思います。とにかく、リアルな立体感。映像が、実写よりも三次元感覚があります。服に当たる部屋の照明加減とか、氷に海や河の水、濡れそぼって顔にはりつく髪。お定まりの正義のヒーローの、真っ赤なスキンタイトなコスチュームの、きらきら加減。人物は思いっきり、デフォルメ。長四角の顎の割れた顔(スーパーマン、金髪版?)に、見事に発達した三角上半身と、思いっきり細い、腕の半分ほどの長さの足(に見える)の主人公、正義のヒーロー。これは何等親でしょう?女性軍は、丸い頭に丸い目、スーパーモデル顔負けのプロポーション。おしりが丸いのが愛嬌。その他の脇役も、とにかく個性的。身体が、顔が、目が、鼻が、大きかったり、小さかったり、丸かったり、尖ったり。


登場人物の動き。「ワンピース」のルフィ君顔負けのゴム人間、Elastigirl。伸び具合、戻り具合が、もう絶品。アニメのルフィ君なんて、目じゃありません。「スパイダーマンTM [DVD]」の糸出しのような動きで、氷を出すFrozone。氷を出しながら、その上を、スノーボー(アイスボード?)で、町中を縦横無尽に滑りまくります。黒人の肌に、水色と白のスキンタイトスーツが、氷に映えて、きれい。火事場で、脱水気味になり、氷が出なくて危機一髪という場面も。このFrozoneと、言うネーミングが又、凝っているそうです。アフリカ人は、俗称Afro。略してFro。もちろん、凍るとFrozen。それで、氷を作る時に発生するのが、ozone。これは、主人からのコメント。こんな、微妙なニュアンスはわかりませんね、nekoには。


プロット。これが、又、しっかりと作られています。華やかにスーパーヒーローたちが活躍して、幕開け。はっきりした色で上下左右に移動する画面。前途洋々で結婚式を挙げた途端の、没落。力を封じられた、哀愁のヒーローが強制される平凡な生活。画面は地味な柔らかな色調で、視点が平坦になります。力を隠さなければならない、子供たちの屈折した生活。そして、もちろん、謎めいた通信で、主人公は密かに昔の栄光を取り戻せるかに、見えましたが、、、活躍の場面は、もちろん、目一杯鮮やかな色とスピード三次元移動で、目はスクリーンに釘付け。


スーパーヒーローが、家族や恋人と、自分の義務との板挟み、と、いうテーマは、最近では「スパイダーマン」で書かれてます。ピーター・パーカー君の苦悩振りには(実はまだ2は見ていませんが)には、胸を打たれます。星新一ショートショートで、金庫破りにまで身を落としたスーパーマンの話もありました。さて、こちらの一家の大黒柱となったスーパーヒーローが家族を巻き込んでしまったら。自分だけではなく、人の、それも大事な家族の命を守らなければならない責任を、いきなり負わされた子供たちは。立派な家族ドラマに仕上がってます。悪役も、単なる悪者政治家や宇宙人ではなく、実は、、、


悪役の作ったロボット(「スパイダーマン2」のあのたこおじさんに異常に似てます)に始まり、主人公の変身する車(バットモービル)。Frozoneのアイスボード(「ジャックXダクスター2」のジェットボードか、「スタティックショック」の空飛ぶボード)。スーパーヒーローの衣装デザイナーのハイテクマンション(これは、例をあげだすと、終わらない)。悪役の基地の、高速モノレール、探査オームロボット、空飛ぶ円盤がた攻撃機、と、SFガジェットも満載。だけど、最後に、ヒーロー一家が町を救いに、高速道路を走らせるのが、何の特典もないミニバス。この疾走シーンに映画「スピード [DVD]」を思い起こしてしまうのは、私だけ?


劇場で見てみたかった、映画です。