南の猫の新西蘭雑記

日本も結構好きなのですが、根っこがこっちに深いです。

火星SF 其の参 「スター・レッド」

スター・レッド (小学館文庫)

スター・レッド (小学館文庫)

やっぱり、これはいれなくっちゃ、と、いうことで。かっこいい、SFです。連載されたのは、週刊少女コミック。もう、毎週、発売日が待ち通しくて、待ち遠しくて。


主人公は、ちゃきちゃきの女高生、星。せい、と、読みます。ナイトクラブでオープニング。一ページ丸々使って、全身像。身体にぴったりの真っ赤なバイクスーツに赤いケープをなびかせ、片手にバイクの鍵(だと思う)をひっかけ、颯爽と登場。バレー(ダンスのバレーです、スポーツではありません)漫画も、書きこなしてしまう、この作者。いつも、指先、足先まで、書き込みがきれい。この白黒二次元の紙の世界で(このページはカラーでしたが)、動きが、奥行きが。


グラスを上げて、迎える仲間。実は暴走族仲間。星はそのリーダー。見慣れぬ顔のサングラスを跳ね上げてみれば、ライバル族の新参者。それ、追い出せ、追いかけろ、と、所変わって、高速バイクレース。出てみれば、ここはドームにすっぽりと覆われた未来大都市。逃亡者は、ドームの外に星たちをおびき出し、待ち伏せから、乱闘シーン。さて、星のお手並み、拝見。ま、暴走族のリーダーたる者、奥の手の一つや二つ。と、いうことで、何とか逃れて、帰宅。理解のあるお父様は、実は、、、と、第一話から、いいテンポで、人物紹介を盛り込み、新世界に引き込んでくれます。


題名「スター・レッド」は、もろに火星のこと。当然、火星人が出てきます。地球火星間飛行はもちろん、太陽系、他の恒星系旅行。星間戦争、超能力者、スパイ活動、異星人、果てには超古代異次元生命体まで、もうもりだくさんのSF。でも、眉間に皺を寄せなければならないような小物は一つもありません。いつもの事ながら、見やすい、読みやすい、わかりやすい、そして、うならせる、この作者の力量。


随分、前の作品ですけど、名作の例にたがわず、いつ、読んでも素敵な逸品です。