南の猫の新西蘭雑記

日本も結構好きなのですが、根っこがこっちに深いです。

エンディミオン 大傑作長編シリーズの第三部

エンディミオン〈上〉 (ハヤカワ文庫SF) エンディミオン〈下〉 (ハヤカワ文庫SF) Endymion (Hyperion Cantos)

さて、三編目。話の構成からすると、起承転結の転。時代が思いっきり飛んで、前作から、三百年経ちます。


冒頭で、いきなり、読まない方がいいといわれます。

You are reading this for the wrong reason.
あなたがどんなつもりでこの文章をとったにせよ、十中八九、その目的は的外れだ。

この後、つらつらと読んではいけない理由が述べられます。読んではいけないと、言われると、読みたくなるのが人情。この語り手が、これからの二編の案内役、ロール・エンディミオン。死刑を宣告され、独房の中で、一人、この波瀾万丈の出来事を書き連ねて行きます。


思い出行の最初のシーンは、もちろん惑星ハイペリオン。お金持ちのわがまま旅行者の狩りのガイドを勤めるロール。静かな夜明けの異星の風景を楽しめるのもつかの間、最初の試練がロールを襲います。心ない他人のちょっとした(?)不注意で、大事な物を失うロール。ここで、思わず涙ぐんでしまうのは、私だけ?おまけに、全面的に非を被せられ、最初の死刑宣告、刑、執行。当然、これは救いの神が現れます。そして、本当の冒険が始まる訳です。


前編から三百年、経っていますから、登場人物も新しい人が主。世界もがらりと変化しています。瀕死の危機に立たされていたキリスト教が、人々に不死を与える方法を餌に、続々と改宗者を加え、世界を支配しています。ロールの冒険は、この勢力が唯一恐れる、謎の力を持つと言われる女の子を守りきる事。青い肌のアンドロイドを加え、三人の逃避行が始まります。追う側は、教会直下の軍隊から派遣された神父大佐。登場人物は人間だけでは物足りないと、加わるのが、とげとげ怪人<シュライク>と<コア>から送られた「ターミネーター3」より恐ろしい刺客。星から星へと舞台を替えながら、最新のテクノロジーを駆使した敵に、素手同然で切り抜け続けるロール一行。ま、最初は宇宙船に乗っていますが(武器はなし)、途中から、なんと、筏に変更。光速をも超える宇宙船で敵に追われて、手作り筏で逃亡。なんとも、読ませてくれます。


もちろん、奥の手が後から後から出てくるのですが、それは、読んでのお楽しみ。最後のどきどきはらはらの大決戦の後、とりあえずの目的地に着いて、この一編は終わります。でも、まだ、任務達成ではないロール。最終編へと、試練は続きます。