南の猫の新西蘭雑記

日本も結構好きなのですが、根っこがこっちに深いです。

 「渇きの海 (ハヤカワ文庫 SF ハヤカワ名作セレクション)」やっぱりSF黄金期

Fall of Moondust

Fall of Moondust

スリルとサスペンスのSF大作!!!面白かった。クラーク巨匠、いきなり船を沈没させて、息もつかせず、問題、解決、問題、解決と、最後まで眼が離せません。

クラーク巨匠と言えば、「幼年期の終り (ハヤカワ文庫 SF (341))」とか「2001年宇宙の旅 (ハヤカワ文庫 SF 243)」。短編だって、「太陽からの風」とか「メデューサとの出会い(だったかな、題名?)」とか、これから又宇宙に出るぞ的な話が多かったような気がします。

この話は打って変わって、一点集中。本格的なレビューはid:suikan:20050805をご覧下さい。舞台は砂の海。登場人物は船の乗員と救出に関わる一握りの人たち。ニュージーランド人とかオーストラリア人とか出てくるから、ちょっと笑ってしまいました。日本人観光客はいなかったですね。残念。で、一面識もなかった人たちが、いきなり密室状態に押し込まれて、ドラマの始まり。外では、頭脳明晰切れ者達が頭をしぼって救助活動。ハードSFというと専門用語ばっかりでとりつきにくいとお思いの方は、これで考えが変わると思います。SFは、サイエンスフィクション、お話ですから、人のドラマがなければ面白くありません(と、いうのが私見です)。ロマンスあり、オールドミスのやっかみあり、老夫婦の過去暴露話あり。と、書くと、そこらのソープオペラみたいですが、ここに舞台の月が異世界の風味をしっかり効かせてくれます。最初の夜の航海(航砂?)シーンなんて、きれいでため息が出てしまいます。

私が読んだのは1967年度判のペーパーバック、上記と同じ本です。カバーのイラストはラグランジュ点にあるという監視衛星でしょうか。はまぞうに登録されていたので感激してしまいました。ものすごく質の悪いわら半紙のような紙で、かなり茶色っぽくなってます。虫にくわれているページまでありました。どこかの古本屋で買ったらしく(覚えていない)お値段が1.50と鉛筆書き。いい買い物をしました。