南の猫の新西蘭雑記

日本も結構好きなのですが、根っこがこっちに深いです。

 今年一番のカンフー映画「英雄〜ヒーロー〜」秀逸

英雄 ~HERO~ スペシャルエディション [DVD]

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何の予備知識もなくただジェット・リー主演しか知らなかったこの映画。久々に引き込まれる映画でした。ありゃ、これは又ワイヤー酷使の血みどろ古典カンフー復習物かしらと思ってしまった、最初のアクションシーン導入部。アクション自体は文句のつけようもないベテラン強者同士。モノクロの画面に中国の琴の音が響き渡り、ワイヤーを使って剣の切っ先をかざして一直線に飛ぶかと思えば、水の滴りをスローモーションで見せながら両者びくともせずと、音も映像も動と静が交差して、これはちょっと違うかもしれないという予感。

アクションはもう大満足でした。ジェット・リー冴えまくりです。ここまでワイヤーを使ってしまわれると、その荒唐無稽さが、かえって愉快。砂漠に森に湖に、映画界初登場という美しすぎるロケーション(そのかわり到達が大変だったらしい)で、縦横無尽に舞ってくれました。背景の美しさもさながら、色使いが又、すごい。ゆるやかなひだが波打つ単色の衣装が、幾重にも折り重なったストーリーの展開の度に、色を変え、人を変えていきます。黄色い枯れ葉の舞う森の中、深紅の衣を翻して男の事で争う二人の女。転じて、うす褐色の砂漠で、純白の衣をはためかしながら、刃を交える恋人同士。ここまで、色で、ストーリーで、人で、遊んだ映画も珍しいのではないかと。

長空、残剣、飛雪と素敵な名前は、英語で sky, broken sword, snowとされてしまい、ちょっと興ざめです。主人公なんて、namelessです。そりゃ、そういう意味ですけど。中国語で聞けたらもっと楽しめるのではないかと(絶対無理だけど)。と、名前のショックから回復すれば(日本語だと音読みですか?)、結局はどうしようもなくロマンチックなこのストーリーを役者の七変化で目一杯楽しめます。

おまけのメーキングのDVDより
ジェット・リー「二日半車に揺られてロケ地に行った映画は初めてだ。」
マギー・チャン「砂漠はもうそこにいるというだけで、チャレンジだった。」
映像監督(西洋人)「ロケ地というロケ地にいいパブがないのが一番困った。」
監督「二日半、揺れすぎる車は眠る事もできなかった。そこで、何度もストーリーを頭の中で反芻して過ごした。」

大変でしたね。でも、本当にもの凄い映画に仕上がってます。大河ドラマの好きな方、ロマンスの好きな方、カンフー・アクションの好きな方、是非ご覧になって下さい。