南の猫の新西蘭雑記

日本も結構好きなのですが、根っこがこっちに深いです。

 "The Passion of Christ" 辛苦

パッション [DVD]

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"Overblown."

が、主人の感想。私も全く同感です。「やりすぎ。」血みどろの宗教画をそのまま映像でつなげたような感じでした。

それでも、涙が止まらなかったのは、イエス・キリストの時代よりも前から今まで、ずっと、同じの構造、「一握りの善意の人の努力の灯と、それを瞬く間に吹き消してしまう無知な大衆と私利私欲に捕われた権力者の暴風」が延々と目の前に展開されたからだと思います。笑いながら人を傷つける。愛する人が、大事な人が、傷つけられるのを目の当たりにしながら何もできたい。こんな光景がいつでもどこかで展開されている。苦しくなります。

映画は、逮捕から始まり、打たれ、責められ、血を流しながら十字架を背負って歩くキリストの道中です。所々に、とても短いフラッシュバックで入る、逮捕前のキリストの生活。静かに語られる彼の教えが、胸に響きます。あの美しい言葉を聞いていれば、争いもテロも戦争も論外のはず。結局、権力と欲がくせ者だね、と、主人と意見が一致しても気分が晴れるはずもなく。

と、私が鬱々していても、事態が好転しません。できる事をできる時に。天国も奇跡も信じられはしませんが、"love"は確実に存在します。明日は、愛情を、家族を祝う日。最後の追い込みです。