南の猫の里帰り雑記

29年ぶりに帰国して3年日本にいたけどNZに里帰り

 デューン砂漠の惑星、伝説の三部作

ポール・アトレイデ


イラストは故石ノ森章太郎先生によるポール・アトレイデ。「デューン砂の惑星 (1) (ハヤカワ文庫 SF (76))」より。二十五年経た今みても、素敵な少年です、*^^*。やっぱり、ポールはこうでなくちゃ。そして、シリーズ最新作、読み終わりました。

The Butlerian Jihad (Legends of Dune)

The Butlerian Jihad (Legends of Dune)

第一部では、広大なる元帝国を圧制統治する思考機械軍の攻撃をなんとかしのいでいた千年の受け身体制を翻し、辺境惑星連盟が積極的に攻撃しはじめた所で終わりました。

Dune: The Machine Crusade

Dune: The Machine Crusade

第二部はその二十数年後から始まります。三角関係、などと、悠長なことを言っていられない、泥沼戦争です。圧倒的な資源と知識で冷酷に軍隊を送る思考機械に対するは、機智と勘とごまかしで切り抜ける辺境惑星連盟軍。こっちの惑星をとりもどしたと思えば、あっちの惑星を失いで、全然終わりそうにありません。長い戦争に疲れて、戦意を失いつつある大衆のため、壮絶な殉死を遂げるヒロイン。と、その戦意を保つために悲劇的な殉死を遂げるヒーロー。で、最後を飾って、この部は終わってしまいます。

The Battle of Corrin (Legends of Dune)

The Battle of Corrin (Legends of Dune)

そして、第三部はジハード百年に達してしまいます。戦前派はほとんど生き残っておらず、戦しかしらない世代がもくもくと戦場で散っていきます。状況は悪化の一途をたどり、どうなるんでしょう、と、悶々としながら読み進み、最後に一挙に解決。人類が自由を手にするのは、事前にわかってはいるものの、最後の最後まではらはらさせてもらいました。

Thou shall not make a machine in the likeness of a human mind.
<なんじら、人の心に似せたる機械を作るなかれ>

Fear is a mind killer……
<恐怖は心を殺すもの……>

和訳、「デューン砂の惑星 (1) (ハヤカワ文庫 SF (76))」巻末用語辞典参照

といった有名なフレーズも織り込まれ、からくも「コリンの戦い」に終止符を打つと、その間にオレンジカソリックバイブルのもととなる宗教団体も発足し、ベネ・ゲセリットの最初の教母に、ギルド・ナビゲーターの初代、メンタット第一号、スク学校設立者、フリーメンなども無事に生き延びて、ついでにいきなり「コリノ家」の初代が宣誓し、壮大な三部作は幕を閉じてしまいました。アトレイデ家とハルコルンネン家の恨みの原因も出たし。それは人類の命運の分かれ目とはいえ、若者のナイーブさと老兵の頑固さと、どちらもどちらというか……許せないものですかね……それに、ロボットと思考機械の最後も気になる……続編が出てもおかしくないな……と、疑問はいろいろありますが、よくつながりました。大満足の三冊です。

恒例(?)言葉遊び。拙訳 by 南の猫。

"What if we all see different visions?" Ishmael asked. Marha looked at him. "We will each see what we need to see, and everything will be all right."
「皆、違う未来を視たらどうなるのだ?」イシュマエルが問うた。マーハはイシュマエルを見つめた。「皆、それぞれに必要な未来を視て、それで万事おさまるところにおさまるものよ」

元祖フレーメンです。

"There is nothing in the universe I want more than that, but the universe is not in the habit of asking my preference."

Vorian Atreid

「この望みさえ適えられれば、この宇宙で他に欲しい物など何もない。だが、宇宙は、おれの意向を聞く耳など持たないようだ」

ヴォリアン・アトレイデ

言わずと知れた、元祖アトレイデ。

"I do not fear death, for I was fortunate to have been born in the first place. This life is a gift, and was never really mine at all."

Serena Butler

「私は死を恐れない。生まれて来れたこと自体が幸運だったのだから。この命は私に授けられたもの。私個人の所有物なのではないのだから」

セレーナ・バトラー

ブトレリアン*1・ジハードの直接の引き金となり、死後も聖者として聖戦の旗に飾られ続ける女性。

"Do not confuse the accumulation of data with intelligence."

Erasmus

「集積された情報を叡智と勘違いしてはいけない」

エラスマス(独立したロボット)

いろいろ、問題を複雑にしてくれる、味方だか敵だかわからないロボット。

"The flesh may not be excused from the laws of matter, but the mind is not so fettered. Thoughts transcend the physics of the brain."

Cogitor Vidad
「肉体は物理的法則から逃れる事はできないが、精神は拘束されない。思考は脳の物理的限界を超越する」
認知者ヴィダッド

この認知者たちは肉体のわずらわしさを逃れるため、脳だけ摘出して培養液の中に浮かび、哲学を究めようとします。千年の思考の後得られた叡智で人類を救えるのかといいますと、これまた、皮肉な結果となりました。

"When the observer truly believes the illusion, it becomes real."

Swordmaster Zon Noret
「見ている者がその幻影を本物と信じ込んだ時、それは現実となる」
剣匠ゾン・ノレット

デューンシリーズで延々と活躍するダンカン・アイダホが鍛えられた闘士訓練学校で、究極の闘士としてあがめられるジョエル・ノレットの父親。

"Nothing is ever as it seems. With appropriate equations I can prove this."

Norma Cenva
「見かけ通りのものなど何もない。私は、それを歴とした方程式で証明できる」
ノーマ・センバ

ギルドの発端となる女性。

最後にシビアな真理。

"The only guarantee in life is death, and the only guarantee in death is its shocking unpredictability."

A saying of Old Earth

「生のうちでたった一つだけ確実なのが、死だ。死の時、たった一つだけ確実なのが、その桁違いの不測性だ」

原地球の言い伝え

*1:このブトレリアンは上記セレーナさんの名字「Butlerの」というとことで「Butlerian」最初のシリーズの和訳でブトレリアンとカタカナ化されましたが、Butlerと言えばサンダーバードのパーカーでもお馴染みの執事さん。カタカナ「バトラー」も日本人には馴染みがあるかと。この新シリーズはブトレーで通すか(ちょっと間が抜けて聞こえません?)思い切ってバトラーと記すか、ちょっと気になります。