南の猫の新西蘭雑記

日本も結構好きなのですが、根っこがこっちに深いです。

 一人で仏滅日- 午後の部

 いけませんね、日にちがあいてしまいました。なんだか、気が抜けた炭酸水のようですが、一応完結させたいと思います。

 ちょっと面倒な見積もりを手がけていたのですが、エージェントさんから催促の電話がきてしまい、いきなり締め切り日当日となってしまいました。ほとんど終わっていたので、あとは書類をタイプアップするだけだったのですけど……ちょっとだけ上のランチルームで昼ごはんを食べて事務所にもどりますと、ざわざわとなにやら皆落ち着きません。変な感じ。変なにおい。
「あ、ほら、あなたもわかる?」と、黒髪の女の子。
「うん、なんだかここにくるとちょっと焦げ臭いね」
 くんくんと嗅ぎ回って、は、しませんでしたが、そこらへんの機械類を点検。別にあつくはなっていません。どうやらエアコンからのよう。なんだかだんだん匂いが強くなっているような……皆が立ち上がってざわつきはじめ、非難係が確認の連絡をしようかと電話を手にとったところで、

う〜〜〜

 え〜、本物?み、見積もり、あとちょっとなのだけど〜、名残おしいけど、散らかった机の上を片付ける暇もなく、それでもバッグだけはしっかり取り出して、非常用階段から外へと脱出しました。
 外へ出ると、建物の横から本当に火がでています。まっくろな煙ももくもく。立ち止まって見学している同僚をいなしめ、建物からもう少し離れたところまで移動します。消防車とパトカーが続々と着きます。スプリンクラーも働き始め、火は劣勢。幸い、お天気はよく、暖かい日差しを背中に心地よくあびながら、のんびりと同僚と世間話をして、消防士さんたちが戦い終わるのを待ちます。何だか私の厄日が建物にまで及んだのかしら、と、ちらと後ろめたい思いも横切りましたが、そんな影響力のある星のもとには生まれてません。ま、時々ある間の悪い日といったところでしょう。きびきびとフル装備の消防士さんが、これまた機能美満点の消防車を出入りするのを、ほれぼれと眺めながらのひなたぼっこは、かえって、結構忙しかった私に対する、ちょっとしたお休みのお恵みだったのかもしれません。携帯電話を持っているマネージャーさんたちは絶え間なく誰かと話しています。私は携帯電話は忘れてきたので、そちら方面の仕事もしなくて大丈夫(爆。
 昼休みで外で出ていたNちゃんが帰ってきました。
「今、入れないのよ」
「うん、残念。こんなところを逃してしまうなんて。なんで私の昼休みの間に起こってしまったのかしら。本当に残念。こんなできごと、滅多にないわよね。久し振りの興奮ものだわ」
 う〜ん?
 外側の見える火はおさまりました。気の早い人たちはぞろぞろと入り口の方へと、移動を始めました。団体さんにまじるのが苦手な私は、まだ高見の見物。ほら〜、だって、消防士さんたちはまだなんだか忙しそうで、クリアの合図にはまだまだ時間がかかりそうです。
 私の退社時間もせまってきました。ありゃ〜、見積もり、送れないな〜 上司が近づいてきて言ってくれました。
「まだ、無理そうね。あなた、もうすぐ退社時間でしょ。もう、帰ってもいいわよ」
 なんて、できた人なんでしょう(涙。
「あの、実はA社の見積もりが明日提出なので、今日中に送ってくれと言われたのでけど。時差がありますから、明日の朝一で送れば間に合いますよね?」
「あら、それは……」
 と、ちょっと固まる上司。
「Nちゃんが続きをできる?」
「ちょっと面倒くさいので。それにほとんどできあがっていますので、明日、すぐにできると思います」
「じゃ、大丈夫ね」
 と、言っているうちに時間となりまして、無事放免となりました。そのあと、まだ、一時間ほど外待機時間はつづいたそうです。
 翌日、朝一で、散らかしっぱなしの机の上でログインしっぱなしのコンピューターにて見積もりを仕上げ、詫びと言い訳とともに、見積もりは無事に海を渡ってまだ前日のお国へとたどりつきました。