はいくの方にて娯楽してます。誰でも参加自由のお題ですが、結局ほとんど一人芝居と化してます。id:gyontaさま、貴重な投稿ありがとうございます。
それでは、はじまり、はじまり……
昔々、あるところにおじいさんとおばあさんがいました。
二人は宇宙船に乗っていました。
おじいさんは空の玉手箱をかかえた浦島太郎、おばあさんは月からとびのってきたかぐや姫でした
「若返りじいさんからの連絡はまだかのぉ」
浦島太郎はつぶやきました。
「あかんぼばあさんの小便から若返り成分がとりだせそうだと言っておったのはいつのことだったか……」
「早くしてくれないと、私たちの寿命も多分もう残り少ないですからねぇ」
かぐや姫はため息をついて言いました。
と、その時宇宙船の通信機に連絡が入りました。
id:gyonta様よりの投稿
"Ground control to Major Tom, take your protein pill and put your helmet on,"
「また、混線しとる!」
期待を裏切られた浦島太郎は、乱暴に通信機のスイッチを切りました。
「わしはちょっと寝てくる」
浦島太郎は玉手箱の鍵を確かめると大儀そうに椅子から立ち上がりました。
「短期冬眠モードを忘れずにね」かぐや姫がまるまった背に声をかけました。
若返りじいさんの研究室では、よぼよぼのおじいさんがぎこちない手つきでビーカーに試薬を一滴たらしました。
「まいったもんじゃ。レトロウィルスの培養手違いで、老化が一気に促進ときた。
これがうまくいかないと、わしはもう……」
冬眠カプセルの中では、浦島太郎が瞼の裏に投影される電気羊を数えています。
(確かに、むにゃ、眠くはなるのじゃが……
……なんで電気羊なんじゃろ……)
宇宙船のブリッジでは一人残されたかぐや姫が鏡に問いかけます。
「鏡よ、鏡よ。
この世で一番美しかったのはだれ?」
「そ……それは……」
苦しそうな鏡の声とともに鏡面は電気羊群の暴走が写りました。
「太郎じいさん!」
うとうとと眠りかけていた浦島太郎がはっと眼をあけました。
一面茶色くひからびた荒野に立っています。
もうもうたる土煙と地響きがみるまに遠ざかっていきました。
「おい、浦島の太郎どん、わしの声が聞こえるかい?」
どこからともなく、若返りじいさんの声が響きました。
「おお、聞こえるぞ。おぬしはどこじゃ?ここはどこじゃ?」
「暴走をとめてくれ……わしはもう枯渇寸前じゃ。
あやつらの暴走をとめてくれんと、わしばかりかおぬしたちまでまきこみそうじゃ。
牧羊犬のポチを探し出してくれ」