南の猫の新西蘭雑記

日本も結構好きなのですが、根っこがこっちに深いです。

火星SFではなかった 「Podkayne of Mars」「天翔る少女」

天翔る少女 (創元SF文庫)

天翔る少女 (創元SF文庫)

PODKAYNE OF MARS

PODKAYNE OF MARS


何故、今更、火星SFなど始めたかと言いますと、ものすごい三部作を読んだからなのですが、そこにたどりつくまでが、何だか紆余曲折となりそうです。


火星を舞台にしたSFをいろいろ思い出しながら、書いている訳ですので、レビューというより、読書追想記ですね。それで、上記の物語。お恥ずかしい。敬愛するハインラインの作品は是非、と、思ったのに、実は主人公が火星生まれだったけど、舞台は金星でした。もう一つ、これは正真正銘火星SF、「レッド・プラネット (創元SF文庫)」が、ありますが、未読。他にも、火星を舞台にした話を読んでいるはずですが、どうも思い出せません。あー、恥ずかしい。


でも、この物語も楽しいので書いてしまいます。おしゃまな女の子の日記に綴られる、冒険もの。当人はかなりやりてのヒロイン風に行動しているつもりで、日記を書いている訳ですが、それを覚めた目で見て注釈を加える天才児の弟。日記も弟に読まれない様にと、姉が苦肉の策で、古代英語で書き込んでいるのに、弟君は楽々と読破してしまいます。何でも、読みたいある課題の論文が、皆この言葉でしか出版されていないので、習得してしまったとか。こんな、弟がいたら、便利なんだか、恐いのだか。物語は、この姉弟が、政界の陰謀に巻き込まれて、誘拐されてしまいます。さて、本物の黒幕は、爆弾の行方は、姉と弟の安否は、と、ハインラインの軽快な筆が冴えます。


ハインラインは「宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))」「人形つかい (ハヤカワ文庫 SF 217)」など、軍事色の濃い、これだけ読んだら絶対タカ派だと思われる物語を書くかと思うと、ヒッピーのバイブルとなった「異星の客 (創元SF文庫)」(これも主人公は火星生まれ)。そして、たくさんの楽しい、元気一杯のジュブナイルSF。幅の広いジャンルの物語に共通するのは、生きのいい主人公たち。Podkayneちゃんの楽天的なあの元気は、「フライデイ〈上〉 (ハヤカワ文庫)」に続くのではないかと密かに思っています。何だか、本がみつかりにくそうですが、見かけたら絶対入手しておくべきです。


しかし、ものすごい脱線。次は必ず、火星のお話。