南の猫の新西蘭雑記

日本も結構好きなのですが、根っこがこっちに深いです。

 渡NZ一年目のどたばた - ビザ編

 専門学校の同窓会で、お世話になった添乗員さんが
「NZで人を捜してるけど誰か行くか?」
「は〜い、行きます」
 こんな感じで、後先考えず、幸運にのっかって就労ビザをいただいて、のほほんと、まぁ二年の英語修行とお気軽に海を渡ってまいりました。

 ほとんどが年下のワーホリ若者に囲まれて、わいわいと免税店の売り子をつとめる楽しい毎日を送って三ヶ月。
「猫さん、就労ビザってどういうの?」
「見たい?」
「見たい、見たい」
 ほだされて、当時は肌身離さず持っていた(休憩室のバッグの中ですけど)パスポートを取り出して、どうぞ。
「へ〜、こういうのですか」とぱらぱらめくるワーホリ同僚。当然、写真のページも鑑賞されます。数年前の写真ですので、かなり雰囲気が違います。
「写真はずいぶん前のだから、気にしないでね」
「あの〜、このパスポート、期限きれてません?」
 え!!!
 きれてました。きっぱりと。焦って、領事館に電話します。
「すみません、パスポートをきらしてしまったのですが」
「じゃあ、手続きに来て下さい。でも、発券までにしばらくかかりますよ」
「ビザはどうなるんですか?」
「ビザの期限はまだあるのでしたら、自動的に引き継がれます」
「パスポートが出るまで、仮の身分証明書とかいただけないのですか」
「国を出ないのでしたら、パスポートがなくても大丈夫です」
 だ、そうです。と、いうことで、期限の切れたパスポートにある就労ビザで数週間お給料をいただきました。当時ホームステーさせていただいていた日本人旅行会社員に話したところ、
「よくビザ押してもらえたね。普通だったら、ビザの有効期限以上じゃないとダメだと、パスポートを取り直しさせるよ。それに、よく税関も通ったよな」
 はい、今、考えると冷や汗が出ます。でも、当時の税関は今ほど厳しくなく、と、いうより、全然気にしていなかったような……

 とりあえず、無事に新しいパスポートを手中にし、ビザももしかしたら新しく、もう二年もらえるのかとあわい期待をしましたが、そこまでは甘くありませんでした。継続という形で、ちゃんと最初の数ヶ月は引かれていました(当たり前。

 二年しかいないので、一時帰国などの予定は全然考えていなかったのですが、一年になるかならないかの時期に、母にほだされ、休暇を取って帰国することにしました。電話と足で捜して、往復旅券を買い、それなりに楽しみになってきた二週間前。
「後、二週間で私、休暇なの」
「へ〜、猫さん、どちらへ?」
「日本に帰ってくるの」
「そうなんですか。ビザは大丈夫ですか?」
「二年あるから、大丈夫」
「じゃ、なくてこちらに帰ってくるときのビザです」
 え!!!
 本当に何も知らないというのは恐ろしい事です。ビザはいったん出国すると無効になります。帰って来るつもりの場合はreturn visaなるものを申請して、パスポートにぺたんと張ってもらわなければなりません。と、いうことを説明してもらい、真っ青。
「普通、ビザっておりるまで四週間ほどかかりますよ」
「う〜む、困った」
 飛行機を変えるのか、休暇の日付も変更してもらわないといけないのか、と、頭を抱えていると、もう一人の同僚の天啓のお言葉。
「猫さん、就労ビザ、お持ちじゃありませんでした?」
「はい、でもやっぱりリターンはいるんでしょ?」
「今、有効の就労ビザを持っている人にはすぐに居住ビザを出してもらえるそうですよ。お金がかかるらしいけど」
 え!!!
 初耳。でも、本当なら願ってもないタイミング。何せ、その場でもらえるらしいので。即、移民局に電話します。本当でした。当時、有効の就労ビザの保持者は、ビザの張ってあるパスポートと現金*1を持参すれば、その場でぺたんとresidence permitなる物がもらえることとなってました。市民権ではありませんが*2、何年でもこの国に住んでいてもよいという有り難いビザです。

 移民局は何カ所が支所がありますが、その地域に住んでいないとそちらに赴けません。一番混むのは当然中心街の、当時はクイーン・ストリートにあった本社。いつも、長蛇の列が建物からはみだしてクイーン・ストリートに続いていました。移民局に出向くときは一日つぶす覚悟です*3。ここでも幸いな事に、当時空港に勤めていた私は、住所は空港の近く。移民局も南の方の支所に出向く事ができました。前のパスポート騒動で中心街本社は体験済みですので、仕事がお休みの日に朝一番ででかけます。待ち人がほとんどいません。え〜と、就労ビザを居住ビザに変更したいのですけど、と、椅子を暖める間もなくすぐに回ってきた順番で申請しますと、はい、さいですか、と、その場でぺったん。ついでにreturning resident's visaもぺったん。何枚かの赤いお札*4とお別れしましたが、あっと言う間にニュージーランド居住人。安心して日本一時帰国を果たしました。

 と、言う訳で、二年を待てずに娘の顔を見たいと願った母のおかげで、二年どころか好きなだけニュージーランドに滞在していられる身分となってしまったのでした。後は、パスポートを更新する度に、ビザを移行してもらいます。

Residence Permit
The holder of this permit may remain in NZ indefinitely. This permit expires when the holder leaves NZ.

 好きなだけ滞在していてもいいけど、出国すると無効になるビザです。

Returning Resident's Visa
The holder may travel to NZ and on application shall be granted a residence permit.

 入国の際、新residence permitをいただけるという保証のビザです。

 全然、参考にならないビザ習得話でした。浦島太郎子と化し、すっかり主のような顔をして落ち着いた振りをしていても、バスののり間違えなどとは比較もならないあわあわぶりを発揮していた事もあった*5と言いたかったのかも。何事も体験です。

 もしかしたら参考になるかもしれない段落。パスポート紛失の場合。

 一度だけ、空港で紛失しました。一応紛失届を出して警察の証明書をもらいます。それを持参して領事館に行きますと、再発行してもらえます。新発券ではありませんので、ちょっとだけ安いです。そのかわり、有効期限はもとのパスポートのままです。と、書いている間に不安になって、パスポートをチェックしてみました。来年まで大丈夫でした。ほっ。今年、九月に超短期帰国予定です。

*1:200ドルだったか、300ドルだったか。

*2:これだと、返って困ります。日本の国籍を放棄しないといけませんから。

*3:だって、申請書もらうのにも、列に加わって待たなければいけないのです。それをもらって、書いた後、又、列に加わり、ひたすら待ち体制。当然、椅子など足りないので、直立不動。は、昔です。今はかなり効率化されてますので、ご安心を。

*4:100ドル紙幣。小切手でもよかったのですけど、何となく現金持参。当時はまだアジア人でした。

*5:あると現在形にしておいた方がよいような気も。