南の猫の新西蘭雑記

日本も結構好きなのですが、根っこがこっちに深いです。

 「ある」と「いる」所有と存在と愛情と

「犬があります」と、ペットの事を紹介する生徒さん。ほらぁ、困った。ペットは所有していますよね、と、不思議そう。

goo辞書によりますと
いる(居る)」は

  1. 人・動物がその場所に存在する。おる。
  2. 友人などをもっている。

などなど。
ある(有る/在る)」は

  1. 物が存在する。
    1. (何が存在するかが問題の場合)存在する。
    2. (その物が存在すること自体は自明で、場所が問題である場合)位置する。
  2. 人が存在する。
    1. (誰が存在するかが問題の場合)いる。
    2. 人が死なずに生存する。
    3. (その人が存在する事自体は自明のことで、場所が問題である場合)人がある場所に滞在する。そこに暮らす。
    4. 人がある特別の地位や環境にいる。
  3. 所有している。持っている。
    1. 人が財産などを所有している。
    2. ある人が、家族・親戚・友人などをもっている。
    3. 物や人などが、ある要素や、付属的・付属的な物を持っている。
    4. 人や物がある属性をもっている。
    5. 人などがある能力・実績・経験を持っている。
    6. 人が、ある考え・記憶・感覚を持っている。
    7. 人が、何か解決・処理すべき事柄をもっている。

などなど。まだ、続きます。

「いる」の例文を考えてみます。

1 私の弟はアメリカにいます。
2 私の弟は、アメリカにともだちがたくさんいます。

「ある」の例文を考えてみます。

1-1 あそこにスカイタワーがあります。
1-2 スカイタワーはオークランドにあります。
3-1 スミスさんには大きい家があります。
3-2 スミスさんには妻があります。
3-3 スミスさんには髭があります。
3-4 スミスさんには度胸があります。
3-5 スミスさんには教養があります。
3-6 スミスさんには判断力があります。
3-7 スミスさんには用件があります。

2の「人が存在する」はどう考えても文語調。
「昔々、スミスさんというおじいさんがありました(2-1)。長い間、病の床にあった(2-3)奥さんをなくし、ひとりぼっちの境遇にありました(2-4)。スミスさんは、奥さんのありし(2-2)日を忍びながら、毎日を暮らしていました。」

ペットを所有してはいても家族同然。家族のことを言う場合でも、普通の会話では「姉が一人います」の方が、「姉が一人あります」より一般的ではないでしょうか。英語にしても、動物は文法的には"it"と称されますが、たいていの人は擬人化して"he"か"she"を使います。と、いったことをちまちまと説明して、とりあえず、生きているものは「います」で統一しておきましょうという結論に達しました。