南の猫の新西蘭雑記

日本も結構好きなのですが、根っこがこっちに深いです。

 "Aeon Flux" 難解なアニメからハリウッド映画に変身

minami-no-neko2006-10-23


原作はこれ、↓。

イーオン・フラックス オリジナル・アニメーション コンプリートBOX [DVD]

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 独特の絵です↑(今日の画像)。非常にシュールな話です。と、言っても、アニメのほうは全編見通していないのですが。実は、これは、前に主人が映画と間違えて借りて来て、これで一挙に謎が解決か、と、意気込んでみましたが、全編鑑賞ならず頓挫しました。舞台設定は映画とほとんど同じですが、毎回ヒロインのイーオンとその恋人兼宿敵トレバーの摩訶不思議な攻防に眉間に皺をよせてどうも消化不良。

 さて、映画の方はといいますと、すっきり美しくまとまってます。原作者も製作に一枚かんでいるのですが、脚本は全くの別人。もとの舞台をとりいれながらも、なかなかテンポのよいSFミステリーに仕上がってます。自信満々我が道をゆくアニメのイーオンに対して、映画イーオンは無敵な革命戦士なるも徐々に目覚める自我にとまどいつつ、最後には上部にそむいて人類を救うけなげなヒロイン。天才科学者にして無敵独裁者のアニメトレバーに対し、映画トレバーはなかなか繊細でロマンチックな人道主義者に描かれてます。こう書くと、とげとげしいアニメの毒が抜かれたように感じてしまうかもしれませんが、シャーリーズ・セロンマートン・ソーカスハンガリーニュージーランド国籍)の好演によって味のあるロマンスとなりました。

 セットは思わず私好みのなんとなくジャポネスク。イーオンの妹宅のキッチンがほしいと思ってしまいました。テクノロジーがすべて有機的で、秘密通信はカプセルを飲み込んで、胃の中で消化されたところで意思疎通。食事した後だったらどうなるのだろうと疑問を持つのは私だけではないでしょう。予告編でもあるように、街の防御は鍼撃ち果実と刺だし芝生。最後の決戦は桜園。きれいでした。

 欲を言えば、アクションをもう一踏ん張りしてほしかったところ。シャーリーズ・セロンが猛特訓をしてほとんど自分でこなした所が売り所らしいですが、ちょっと迫力、きれ不足。せっかく、個性的な三人女性戦士をかかえておきながら、振り付けはモータルコンバットか、ストリートファイターか。ちょっと惜しい気がします。改めて、フィフス・エレメントバイオハザードをこなしてしまった、ミラ・ジョヴォヴィッチのものすごさを痛感したりして……

 とは言え、とっても楽しめました。マイノリティー・レポートとか、リベリオンとか、お気に召した方にはよろしいのではないかと。