南の猫の新西蘭雑記

日本も結構好きなのですが、根っこがこっちに深いです。

 デューン:砂の惑星シリーズ最新作 "Hunters of Dune" 読み終わる

Hunters of Dune

Hunters of Dune

 期待し過ぎたかも……


 話は、「大聖堂」で脱出した宇宙船の逃避行、未知の敵がしつこく追って来ます。乗組員の一人が目当てらしいのですが、どのご人だかがわかりません。そして、新たな組織としてまとまりつつあるベネ・ゲセリットのせまりつつある未知の敵に対する最終戦争準備。本編は総集編だけあって、最新シリーズでありながら年代的にはデューン・シリーズ最古にあたるブトレリアン・ジハードの話 "Legend of Dune Series" からず〜っと見事につながってます。

 出演人が豪華絢爛。年代的には前編の「砂漠の大聖堂」からすぐ続いていますので、お馴染みの面々に加え、ゴーラ(死亡した人の細胞からのクローン人)として甦るのは、ポール・アトレイデ、チャニ、カインズ博士、スティルガー、メンタットのハワットなどなど(まだ、いろいろいますけど)。おっと、ハルコルネン男爵もです。ポールなんて、二人も復活。

 と、筋の辻褄はあうのですが、どうものりきれない、と、いったところが本音。フランク・ハーバートの最初のデューン・シリーズは六編ともそれぞれに(途中辛いところも結構ありますが)深い味わいがあり、古今通じての押しも押されぬ名作であることは疑いの余地もありません。まるで、何百年もかわっていない石畳の道を歩く心地よさです。息子さんのブライアン・ハーバートも共作者のケブン・アンダーソンもそれぞれ活躍中の立派な現役SF作家であるらしいのですが……第一編「砂の惑星」のすぐ前の時代にもどった「デューンへの道」シリーズはちょっと軽すぎるなという感じはあったものの、読み物としては充分楽しめた三冊でした。できたてのまだ砂をはかれたばかりのレンガの道。そして、次にとりかかった、ずっと時代を遡った "Legend of Dune" シリーズ*1は、予想外にずっしりと手応えのある三冊でした。レンガの道に、少し砂が沈んで苔が生えて……

 この"Legend"シリーズを読み終えて、又、「デューンへの道」シリーズを読み直して、そのまま「砂の惑星」六冊をじっくり読み直して、そなえたこの新作。あ〜、石畳の道がとぎれてる……作家が違うのですから、あたりまえと言えばあたりまえなのですが、いきなり舗装された道に足を踏み込んで歩調を整えるのに四苦八苦してます。次が完結編。不安と期待がいりまじって大変です。

 ここで、ちょっと読んでみようかな、と、思ってしまった方にちょっと老婆心からの警告。これを読む前に"Legend of Dune"の"Butlerian Jihad"から読んでおいた方が、話がわかりやすいです。つまり、最初の最初から読まないと……

*1:砂の惑星伝説シリーズ?