南の猫の新西蘭雑記

日本も結構好きなのですが、根っこがこっちに深いです。

 "Memoirs of a Geisha" 美しき女性たち

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を、見るだけで満足できてしまいます、この映画。 主人は京都のロケ地の場面を、「あ、あそこ、歩いたぞ。あ、あれ、見たぞ」と、喜びながら、見てました。

 つっこみどころはなかなかあります。最初、いきなり字幕なしの日本語シーン。わかりにくいのでは……日本風の芸者さん名前のなかで、なぜにさゆりさんの先輩の名前だけPumpkin(かぼちゃ)?お医者さんがDr. Crab(蟹先生)?さゆりさんの独演舞い、いくらなんでもあの振り付けは斬新すぎませんか?カンフーの達人ならともかく*1、一介の芸者がハンカチ捨てにいくのにあんな山のてっぺんまで行けますか?等々。

 渡辺謙さん、なんとなく影が薄い感じがします。これは「バットマン ビギンズ」はもとより、「ラスト サムライ」でも感じていたことです。どことなく燃焼しきれていないような。昔の「タンポポ」あたりのちょっととぼけた青年ぶりとか、暴れん坊役とか、好きだったのですけど。

 役所広司さんはびっくり。まず、メークでびっくり。しばらく、ご当人かどうか迷ってしまいました。渡辺謙さんもそうだけど、なんとなく顔が丸めになっているのは、役作りのせい?それとも、ハリウッドのカロリー高い食事のせい?と、余談はさておき、短気なビジネスマンのはまり役。英語も全然不自然ではなく、ひさびさに彼の好演を楽しめました。もっと出番があったら、よかったのに。

 主役のチャン・ツィイー、美しいの一言。左右対称に近ければ近いほど、美人美男の顔に近づくそうです。彼女の顔写真の半分をひっくり返して、もとの半分と合成しても、きっと違和感がないのではないかと思われる、端正さ。

 補佐役のミッシェル・ヨー。これまた、眉目秀麗のアジア美女。引退芸者の「おねぇさん」役がぴったりとフィットしてました。

 工藤夕貴さん、よく覚えていません。が、気の毒な名前を無視すれば、最後にどんでん返しをしてくれるお仲間役を熱演。よかったです。

 桃井かおりさん。あ〜、びっくりした。すごい存在感の役者さんだなぁと映画を見ていたのですが、映画が終わって役者さんの名前が流れ出すまで、彼女だとは気がつきませんでした。英語でもかおりブシ、健全なり。

 コン・リーさん。これまた、びっくり。底意地の悪い売れっ子芸者の雌狐ぶりをたっぷりと見せつけてくれます。どこかで見たのだけど〜、と、頭の底にひっかかっていたのですが、最後に振り向いた顔で思い出しました。金持ち中国人の側女となり、これまた、女の紛争に振り回される若妻の半生を描いた「Raise the Red Lantern [VHS]」の主演女優でした。この映画では、いじわるされる側を初々しく演じていましたが、立派に熟成していじわるする側へと成長したのですね。この映画で彼女が気に入ったら、是非、「Raise the Red Lantern [VHS]」もご覧下さい。

 爪だし、牙だし、女の執念の戦いの果てに、ハッピーエンドのめでたしめでたし、で、ロマンチックな話でした。

*1:グリーン・デスティニー」、「HERO」、「LOVERS」などなど