南の猫の新西蘭雑記

日本も結構好きなのですが、根っこがこっちに深いです。

 触媒とは

 たとえば、何かのメモをとることが絶対に必要であり、鉛筆も紙ももっていると仮定しよう。しかし、見渡す限り起伏する砂地ばかりの広大な平原の真中に自分が立っていると仮定しよう。紙を置く場所はどこにもないので、メモを取るのは一苦労だしかなり読みにくい字になるかもしれない。
 ところが、何か硬い滑らかなものでできた平らな板がどこからともなく現れたと仮定しよう。これを使って書けば、何も困難はなくなる。仕事は手早く上手にできる。
 ここで使った板は、字を書く道具でもなく、直接それに字を書くわけでもない。だた、やりたいと思うことができるための台になるだけである。しかも、使っていても、減ることはまったくない。一兆枚の紙に、一兆個のメモをとろうとも、充分な時間さえあれば、同じ板がいつまでも使えるのである。
 この筆記台は、触媒の一例である。

「8. 太陽をとらえる」より

かつてこれほどわかりやすく触媒を説明してくれたご仁がおられるでしょうか(大げさ?魚が淡水で進化し、また海にもどったという説もなんだかわくわくする話ですね。と、おもしろくてためになる段落と、「ちっともわからん、眉間に皺」の段落がまじりあった本でした。ま、眉間に皺は単に当人の知識不足のためでして、決してアシモフ博士の筆のせいではありません、と、断言しておきます。