南の猫の新西蘭雑記

日本も結構好きなのですが、根っこがこっちに深いです。

 単細胞なコンピューター

粘菌コンピューターとは:

  1. 世界最低速の計算機
  2. ときどき計算間違えるのが特長という計算機
  3. 人間の脳のように情報を処理する未来のバイオコンピューターの基礎研究になる

粘菌は単細胞ですが生育条件に恵まれると数十センチ、場合によると数メートルの膜状にまで成長します。しかも光などの外部の情報を感じ取って姿を劇的に変化させて動き回ることができます。粘菌細胞の中には細かく枝分かれした管状のネットワークが観察されます。この管の中を原形質つまり、タンパク質を含む細胞質が高速で大量に移動し、摂取した栄養分はこの管を通じて広大な細胞内に行き渡ります。この管は必要に応じて伸びる方向や太さを様々に変えることができます。管の形が変わると細胞の変形となって粘菌は移動します。粘菌には脳も神経系もありませんが、この移動は目的を持っており、粘菌にとって不適切な環境から逃れたり、エサの多い環境を求めて移動したりします。

そしてこれを使ったコンピューターは:

細胞の伸び縮みで答えを出すのですが、その特徴は一度答えが得られても、次には答えをご破算にし、別の答えを探し始める点にあります。この点で粘菌の思考回路は人間に非常によく似ています。つまり「だいたいこんなもんでしょう」という答えを出すことができるのです。

なんて単細胞なんだ、が、褒め言葉になる日が来るかも。

「粘菌問題再び」

ヴォイニッチの科学書 Chapter-218より