南の猫の新西蘭雑記

日本も結構好きなのですが、根っこがこっちに深いです。

 「ピンチになると活躍する遺伝子」

ヴォイニッチの科学書 Chapter-224より抜粋

微生物は栄養などの必要な環境を整えてやると速やかに増殖を開始します。ただ、実験室での試験管培養などの場合は栄養分などの量に制限がありますので、やがて、定常期と呼ばれる増殖速度が低下する段階を迎えます。このとき細菌は、与えられた環境、たとえば、栄養分の量や培地の入った器の大きさなどですが、そのような環境因子の中で生存できる上限の個体数に到達しています。すると、分裂して新しく誕生する菌と死んでしまう菌の数が釣り合った状態になります。これが定常期で、栄養が不足して菌が飢餓状態に陥ったり、酸素濃度が低下して菌が呼吸困難になったり、タンパク質やDNAに傷が付いたり、壊れたりして、培地の中の菌たちにはハルマゲドンが訪れています。

この定常期に活性化される新たに発見された転写因子(遺伝子の活動を制御する仕組み)14個は「タンパク質分解酵素、酸化還元酵素グルコース脱水素酵素ヌクレオチド転移酵素」など。ふーむ、タンパク質生成時に壊れにくくしたり、酸素の吸収率を効率化したりする酵素でしょうか。遺伝子サバイバルモードであります。宇宙飛行士さんには必須項目ですね。もちろんストレスだらけで精神的定常期に陥っている現代人にも役にたちそうな気がします。と、いいつつ、細胞分裂がおわってしまった大人はもう処置なしか