南の猫の新西蘭雑記

日本も結構好きなのですが、根っこがこっちに深いです。

 二十年二昔、買い物と休みの話

 十一月で渡NZ二十周年を果たしました。記念すべき日付けは不明です(爆。忘れました。怠け者の性がもろに暴露される在オークランドの二十年。南島などに憧れながらも、動きませんでした。ので、この二十年のオークランドの変りようはまざまざと……

 初めてオークランド国際空港に降り立ち、車で道に出た途端、鼻を襲ったかぐわしき牧場のサイロの香り。着地前に旋回する飛行機の窓から望んだ、ミニチュア牛と羊と馬を実物大で眺めながら、これぞ羊の国ニュージーランドと感慨を深めたのでした。ちなみに当時の空港使用税は$2.00。しばし、空港に勤めた事もありますが、早朝や真夜中のまっくらな道を運転するのはかなり神経を使いました。さすがに家畜が横断するということはありませんでしたが、街灯無し、センターラインは消えかけなんていう箇所がたびたび。今ではすっかり整備され、街灯輝く高速道路で直行、周辺には銀行にガソリンスタンドに24時間営業のスーパーマーケットに、と、非常に便利となりました。ついでに(?)、空港も大改築をしたので、空港使用税は$25.00です。

 すぐに仕事開始。当時は労働者権利が非常に堅固に保護されていました。初日に、"It's your morning tea time.*1"と言われ、"OK"と答えたものの、やりかけの棚の整理をもう少しとぐずぐずしていたら、"Aren't you going?"(まだ行かないの?)と、せかされました。後で、わかったのですが、休憩は必ずとらないと上司の責任問題となるそうです。朝 morning teaと午後 afternoon tea、15分ずつ。お昼休み lunchが一時間。店がからっぽにならないように、順番で休みをとっていきます。

 時給でお給料をいただいていました。残業すると1.5倍。土・日曜日出勤は2倍。祝祭日出勤は2倍と、その上、振替休日がもらえます。夜遅くまで働いた場合は、食費とタクシー代、会社持ち。堅気の会社勤めの方々にはほとんど縁のない特別手当ですが、早朝だろうが、夜だろうが、祝祭日だろうが、おかまいなしに到着される日本人観光客相手の免税品店となると、そうは言ってはいられません。雇われ側は文句のあるはずもなく、給料のよい日の当番を奪い合い、までには、なりませんでしたが、当番日ができるだけ祝祭日にあたりますように、と、勤勉な日本人従業員たちは祈っていたのでありました。

 週末と祝祭日の人件費が高いので会社はもちろん、お店もあまり商売をしたがりません。ウィークエンド・ショッピングなどもってのほか。皆様、いつ買い物をするかといいますと、一週間に一度、late nightという日がありまして、この日だけ夜の9時頃までお店があいています。この時にえいっと買い物をします。土・日曜日はバスの運行も激減します。現地人はこののんびりとした二日間を庭いじりをしたり、海岸などに行ってすごします。自家用車のない新参者*2は……何をしていたのか、よく思い出せません(爆。車のあるお友達の情にすがって外出するか、部屋で本を読んでいたような。

 今では労働法が変り、週末も普通のお給料で働くようになりました。スーパーマーケットの営業時間が月ー金9時6時から月ー日8時10時と延長され、ついでに数が爆発的に増え、買い物に困ることはなくなりました。ショッピング・モールなども「犬もあるけば」の勢いの乱立状態。まぁ、過去十年で人口総数300万人から400万人という大成長を遂げたニュージーランドの31%をまかなう大都市オークランドですから、これくらいしないと供給がおいつかないのかもしれませんが。

 いつでも買い物ができ、いつでも働くことができ、みんなでゆったり休むという時間のやりくりが難しくなりました。なんだか、年を経るとともに忙しくなっていきますよね、と、長年の友達の一言。全く同感です。オークランドは「便利」で「多忙」な先進国大都市仲間入りを目指して、日々精進中です。

*1:朝のおやつの時間、つまり休憩時間です。

*2:車の運転などもってのほか、と、思っていたのに、あまりの不便さに結局こちらで免許をとったのでした。