南の猫の里帰り雑記

29年ぶりに帰国して3年日本にいたけどNZに里帰り

 パート二週目

が、おわりました。ふぅ。週20時間くらい働かせてもらえるつもりだったのが、蓋をあけると10時間ちょい。一週目はちょっとひけましたが、二週目が終わって、このくらいでちょうどいいかもと思い始めたところです。それは、働く時間が長い方が、仕事は覚えられるし、お給料ももっといただけるわけですが、なにせ、人、人、人。今までとまるで違う職場に入り、今までとまるでタイプの違う人と肩を並べ、今までとまるで違う頭の使い方をしますので、錆び付いた脳みそがぎしぎしと音をたてそうです。そのうち状況が変わるかもしれませんが、現状維持でむこうの出方を待ちます。

職場はお弁当やさん。弁当をつめて、カウンターに並べ、これをおくれ、と、いうお客さんからお金をいただいて、ありがとうございます。結構手作業がおおい弁当詰めで、料理の苦手な私は四苦八苦しています。普段はカードで買い物をする私は現金をほとんど扱っていませんでしたので、ここにきていきなり新貨幣の見極めにとまどってます。前の大きいコインの方が、見分けやすかった……でも、そんなことをぼやいていても始まりませんので、お札を受け取っては、必死におつりを計算してコインを集めてます。ま、そんな、こんなも、時間が解決してくれるでしょう。

今日のハイライトは、スペイン系のおじいちゃん。レジでおみそしるを買いました。カウンターの横に立ってカップの蓋を相手に奮闘しています。どうやら、蓋をとってしまいたい模様。蓋をぱかっととって、軽くのせてあげました。お味噌汁には細葱とわかめが入っています。ついでですので、スプーンはいかが、と、使い捨てプラスチックスプーンを渡しました。おじいさんは、にっかり笑って何度も"Thank you, thank you." 店のカウンターに座って、大事そうにみそ汁のカップをテーブルに置きました。しばらくして、横で弁当詰めをしていた私に声をかけてきました。身振り手振りでみそしるに何か入れたい動作をしながら、"Soy, soy." 見回すといつもはおいてある醤油瓶が見当たりません。何故か奥に引っ込んでいた醤油瓶を見つけて、はい、どうぞ。

いや、いくらこちらの人でも、おみそしるに醤油を入れる人はいません*1が、人それぞれ。昔、職場の昼休み。そのころは同僚だった主人が、私がお裾分けした湯気のたつインスタントみそ汁の入ったマグを手にして一言。
"Shall I put milk in it?"
あまりに不意をつかれたので、すっとんきょうな顔をしていたのでしょう。主人の二言目。
"I guess not."
これはお茶ではなくて、スープだからね、でも、日本のお茶もそういえばミルクはいれないな、と、しばらく日本の食文化の話に花が咲いた、昼休みとなりました。味噌とミルクの相性ってどうかしら、と、今でも時々考えます。誰か、勇気のあるかた、試して下さい。

現在にもどります。はい、どうぞ、と、渡したお醤油瓶ですが、おじいさんは手に取らず、スープをスプーンですくって私に見せてくれました。
"Would you like to put soy sauce there? Please help yourself, as much as you like."
(そこに醤油を入れるのですか?お好きなだけ、どうぞ。)
おじいさん、首を横に振る。スプーンの中身を指差して、"soy, soy."
"Oh, no. Those are not soy. Seaweed."
(あ、それは醤油(大豆?)ではありません。海藻です。)
おじいさん、今度は葱をスプーンですくい、もう一つの手で、ぱっ、ぱっ、と、カップに入れる動作*2
"Oh, would you like me to add more of those."
(あぁ、実の追加でしたか。)
おじいさん、激しく首を縦に振る。
"Just a moment, please."
(少々、お待ちを。)
一応、先輩にお伺いをたて追加の許可をいただいてから、葱と干しワカメをたっぷりと入れました。もどると、おじいさんは顔いっぱいの笑顔で、両手を合わせて、"Gracias." 思わずこちらの頬も緩んで"My pleasure."の言葉が自然に口から流れ出ました。その後も、私が通りかかるたびに、両手の親指をあげてにっこり。あの、そんなに感激していただくと、かえって恐縮で……でも、昼のラッシュでひきつりぎみの口元がその度に緩むので助かりました。スペインというよりは、たぶん南米からのお方でしょうが、久々に暖かな太陽光線を浴びたような、癒しの笑顔をいただいた今日の仕事場でした。

*1:たぶん。

*2:今、思ってみると、この身振り手振りのコミュニケーションというのも、どこか心温まるものがあるような気がする。