南の猫の新西蘭雑記

日本も結構好きなのですが、根っこがこっちに深いです。

 あまりものの世界

今現在の世界は原子から構成されています。

私たちの体や惑星、太陽など宇宙に存在するあらゆるものを構成する原子は、陽子と中性子からなる原子核と、原子核の周辺を雲のように取り囲む電子でできています。原子核の中の陽子はプラス、電子はマイナスの電気を持っています。一方で、これらのプラスマイナスが逆になったものも存在していることがわかっています。つまり、マイナスの陽子、これを反陽子といいます。そして、陽電子と呼ぶプラスの電子が存在し、これらによって作られた原子が存在するのです。私たちの宇宙を構成する非常に小さな成分を粒子と呼ぶならば、そのような電気が逆の原子でできたものは反粒子と呼ばれることになります。

宇宙は約137億年前に誕生しました。宇宙は無から、急激な膨張期間であるインフレーションを経て、ビッグバンという大爆発で誕生しました。宇宙誕生直後、膨大な数の粒子と反粒子のペアが生まれ、自由に飛び回っていました。その後、双子は触れ合うと光を出して次々に消滅し、どんどん数を減らし、宇宙創生の1000億分の1秒後には反粒子はほぼなくなってしまいました。この時、10億分の1というごくわずかな確率で粒子が残り、この粒子が現在の宇宙を構成するあらゆる物質になったのです。その仕組みは、粒子と反粒子にはごくわずかな寿命の違いがあり、粒子だけが生き残ったということで説明が付きます。

つまり衝突をまぬがれた双子たちは、かたわれの半粒子の寿命が尽きた後も、粒子が生き残ったので、現宇宙の原子のもととなった、と、いうことでしょうか?


「2008年 ノーベル物理学賞」

ヴォイニッチの科学書 Chapter-217より